<将来への漠然とした心細さはどこから生まれるのか。「心配性の脳」の秘密を探る研究の最前線をのぞいてみた>
現代が不安の時代だと言うなら、中世はどうだったか考えてみてほしい──不安の神経科学の権威で、2015年に不安の脳科学的メカニズムを論じた著書『不安(Anxious)』を上梓したニューヨーク大学教授のジョセフ・ルドゥーはそう言う。「うんと生きづらい時代だっただろう。疫病、貧困、そして生活上のストレス」
ルドゥーは著書でも述べている。人間はいつの時代にも「今は不安の時代だ」と考えるものだ、と。
「人間は自分の不安に執着する。自分のものだから、特別なものだと思うのだ」と、ルドゥーは説明した。「それが不安の本質だ。不安にとらわれると、それだけで頭がいっぱいになる。そうなると、ほかの人たちも不安を抱いていると気付く余裕もなくなる」
私は「なるほど」とうなずきはしたが、完全には納得できなかった。
その日、彼の研究室に早めに到着した私は彼が現れるのを待つ間、スマートフォンをいじっていた。画面にはニュースが次々に現れた。「地球の肺」と呼ばれるアマゾンの森林で火災が広がり、地球温暖化に拍車が掛かりそうだ、米中貿易戦争はエスカレートの一途、ダウ平均が大幅に下落、テキサス州でまたも銃乱射事件……。
こうしたニュースがわが子と地球の将来、そして自分の401k(確定拠出型年金)に及ぼす影響を考えていると、ニューズウィークの編集者からテキストメッセージが来た。不安についての今回の記事を早めに仕上げてもらえないか、3日後ではどうか、と。
今を「不安の時代」と呼ばずして、何と呼べばいい?
ただルドゥーの言うとおり、将来に不安を抱いているのは私だけではない(私だけだと思いがちだが)。実際、米国精神医学会が 年5月に発表した調査結果によれば、「非常に」と「やや」を合わせると、アメリカ人の3人に2人が自分の健康と金銭面、自分と家族の安全に不安を抱いている。ちなみに、この割合は前年と同じだ。
この傾向は若い成人に顕著で、18?34歳の70%が金銭面と家族の安全に、3人に2人(55歳以上では40%)がパートナーや恋人との関係に不安を感じ、約20%がクリニックなどを訪れている。
「無意識」が不安に果たす役割
複数の報告を見ると、大卒者は最も不安に駆られている。
米国心理学会の18年秋の報告では、1997年以降生まれのZ世代はどの世代より心の健康状態が悪く、91%が鬱や不安など、ストレスに関連した身体的・心理的症状を経験してた。別の調査では、過去1年間に「圧倒的な不安」に苦しんだ大学生の割合は63%。大学のカウンセリングセンターを訪れる学生の数も2009?15年に30%以上増えている。
背景にはインターネットとソーシャルメディアの普及があると、多くの研究者が指摘している。「絶えずニュースにアクセスでき、絶えず警告を受けていれば、信じ難いほどストレスを受け、人によってはパニックにもなる」と、ロサンゼルスの心理療法士、ジェニー・テーツは言う。「銃撃だの強盗だのといった情報がどんどん入ってくれば、自分もそんな目に遭うのではと身構える。指先で画面に触れるだけで現実に起きた悪夢が次々に再現される状況で、リラックスなんてできない」
ルドゥーにこの話をすると、現代が「特に厄介な時代」であることは認めた。元凶はもちろんネット。彼に言わせれば、ネットの登場は「人類に起きた最悪の事態の1つ」だ。
※全文はソースで
https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2020/01/post-313.php
続きを読む
Source: 【2ch】コピペ情報局
最も不安に駆られるのは大卒者 脳が不安に支配されるのはなぜ?